上達が速い人は、練習を早くやめる
ピアノでも他の楽器でも、ある程度の経験とレベルで、日々練習している人であれば、一度はこういった経験があるはずだ。数日、時には1週間弾かなかったあと、なぜか以前より弾きやすくなっている。むしろ「前より上手くなっている」と感じることさえある。

ピアノでも他の楽器でも、ある程度の経験とレベルで、日々練習している人であれば、一度はこういった経験があるはずだ。数日、時には1週間弾かなかったあと、なぜか以前より弾きやすくなっている。むしろ「前より上手くなっている」と感じることさえある。
楽器の上達とは、具体的に何を言うのだろう。今回はこのテーマで書く。おそらくスポーツなど、身体技術を習得する分野において、似通った部分が多いのではないかと思う。
子ども時代ピアノなどの楽器を習って、その後数十年触れることなく、何十年ぶりかで再開した人はたくさんいる。もう何も覚えていない、ブランクがあり過ぎて弾ける気がしない、そもそも真面目に練習する生徒じゃなかったし、と仰る方々も多いが、驚きの速度で回復し、瞬く間に上達していく。記憶というのは不思議で、奥底に眠っていたものが、身体を動かし始めると同時に目覚め、復元され再び進化するらしいと、確信するようになった。実は忘れてしまったという認識の方が錯覚で、一度取り出しさえすれば、そのやり方は覚えている、ということなのだと思う。
どんな能力にも、ピークの年齢というものが存在する。ある研究によると、例えば、情報処理能力や記憶力は18歳前後だという。一方集中力のピークは40代前半にあるらしい。個人差はあるが、身体能力は、どう考えても10代後半かせいぜい20代前半のはずだ。
今回は音楽のレッスンに関して、度々耳にする話__並行してレッスンを受ける場合、元々メインで習っていた先生の許可は必要かというテーマで書く。
独学ではなく、オンラインでもなく、対面でレッスンを受けたいと思う場合、教室に通う方法と自宅でレッスンしてもらう方法がある。結論から言うと、余程の例外を除き、上達が早い順に、教室レッスン、自宅レッスン、オンラインレッスン、独学だろう。今回は自宅レッスンのメリットとデメリットを考える。
ストリートピアノが一般的になりだいぶ経つが、ことあるごとに苦情が寄せられるようだ。音がうるさい、下手な人は弾くな、拙い練習を公共の場でするな、長時間独り占めするな、動画撮影のため占領するな、等々、どれもこれもごもっとも、と思えるが、弾きたい人はいろんな理由で弾きたいのだろう。
楽器の演奏は本当に繊細な作業で、些細なことで影響される。家でひとりで弾いているときは結構上手く弾けるのに、レッスンになるとなぜかミスが多くなり、本番となると半分も実力を出せない、ということもあるかと思う。あれだけ練習しておきながら、本番は散々な出来だった、というのはなかなか悲しいものだ。
音楽を演奏する動機は様々あると思うが、そのひとつが、時間に価値を与えることではないかと思う。演奏しているときの1分は、日常生活の他の1分とは、時間感覚が全く違う。それは時間芸術のなせる技でもあり、何者にも邪魔されない集中の中にいるときの、特別な感覚でもある。
楽器の習得は、基本的には練習量に比例する。よほど不適切な練習法でない限り、練習する程に上達していくもので、ピアノも例外ではない。